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2024.05.17

【2023年12月】アルコールチェック義務化の罰則とは|義務化の内容や運用方法も解説

2022年に道路交通法が改正され、一定台数以上の白ナンバーの社用車を使用している企業に対して、アルコールチェックが義務化されました。

また、アルコールチェックをより厳格に実施するために、2023年12月からは検知器を用いることも義務化の内容に追加されました。

 

しかしながら、

  • アルコールチェック義務化の対応を怠るとどんな罰則があるのか知りたい
  • そもそも自社がアルコールチェック義務化の対象かわからない
  • どのように運用すれば法令に遵守していると言えるのかわからない

など、対応を始めたばかりで、疑問や悩みを抱えている方も多いようです。

 

そこで本記事では、アルコールチェック義務化の「罰則」や「内容とスケジュール」、アルコールチェック「実施のポイント」、「運用を徹底するための方法」等について解説します。

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アルコール検知器を用いたアルコールチェックが2023年12月1日から義務化されました。義務化に至った詳細についてはこちらの記事をご確認ください。
 【速報】アルコールチェック義務化開始!警察庁発表をわかりやすく解説!

アルコールチェック義務化のまとめ

アルコールチェック義務化とは、2022年4月の道路交通法改正により、それまで義務化されていなかった「白ナンバー」の社用車や営業車を一定台数以上使用している企業に対して、運転前後におけるアルコールチェックの実施が義務付けられたことを指します。

 

なお、トラックやバス、タクシーなどの事業用自動車、いわゆる緑ナンバーについては、以前からアルコールチェックが義務付けられています。

他にも建設現場や公共交通機関といった、特に安全性が重視される業種においても、アルコールチェックが実施されています。

 

5分でわかる!アルコールチェック義務化のすべてでは、イラストを用いてわかりやすく説明しています。ぜひ手元に置いて参考にしてください。

 

義務化の内容とスケジュール

アルコールチェック義務化の背景には、2021年6月に千葉県八街市で発生した交通事故があります。飲酒運転のトラックが下校中の小学生の列に突っ込み、児童2人が死亡、3人が重傷を負う大事故でした。

 

事故後、運転者の呼気からは基準値を上回るアルコールが検出されましたが、運転者が乗っていたのは、当時アルコールチェックが義務付けられていなかった白ナンバーのトラックでした。

 

この事故を受け、白ナンバーに対する飲酒運転防止を目的としてアルコールチェックが義務化されたのです。二段階に分けて施行された義務化の内容とスケジュールをおさらいしましょう。

 

2022年4月に施行された内容(第一段階)

飲酒運転による交通事故を今まで以上に厳格に防止するために、まずは運転前と運転後の計2回、ドライバーに対してアルコールチェックを実施し、その記録を管理することが義務化されました。

 

ただし、第一段階では、アルコールチェックの際にアルコールチェッカー(アルコール検知器)を用いることまでは義務化されず、「目視等」で実施すればよいとされていました。

2022年4月1日から義務化された内容は、具体的には以下のとおりです。

  • 運転前後の運転者の状態を目視等で確認することにより、運転者の酒気帯びの有無の確認をすること
  • 酒気帯びの有無について記録し、記録を1年間保存すること
    (道路交通法施行規則第9条の10)

2023年12月に施行された内容 (第二段階)

第二段階では、さらに厳格なアルコールチェックの実施が必要となりました。第一段階では「目視等」での実施に留められていましたが、第二段階では「アルコールチェッカー」を用いたアルコールチェックが義務付けられました。

 

また、アルコールチェッカーは定期的に点検を行い、いつでも正確に測定できる状態にしておくことも義務化の内容に含まれています。

 

アルコールチェッカーの使用について、当初は2022年10月1日から義務化される予定でしたが、アルコールチェッカーの供給不足等を踏まえて延期となっていました。

(参照:警察庁の発表文書

 

その後、安全運転管理者へのアンケートやアルコールチェッカー製造業界からの意見等により、アルコールチェッカーの供給状況は改善傾向にあると認められ、飲酒運転防止を図るためには早期にアルコールチェッカーを導入することが望ましいとの見方から、2023年12月1日に義務化開始となりました。

2023年12月1日から義務化された内容は、具体的には以下のとおりです。

  • 運転者の酒気帯びの有無の確認を、国家公安委員会が定めるアルコールチェッカーを用いておこなうこと
  • アルコールチェッカーを常時有効に保持すること
    (道路交通法施行規則第9条の10)

なお、国家公安委員会が定めるアルコールチェッカーとは、、”呼気中のアルコールを検知し、その有無又はその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有する機器”を指しており、これを満たしたアルコールチェッカーであれば問題なく使用できます。

 

二段階にわたるアルコールチェック義務化の内容を図でまとめると以下のとおりです。

義務化の対象となる事業所

アルコールチェックは安全運転管理者の業務として位置づけられているため、安全運転管理者の選任対象となる条件に当てはまれば、アルコールチェックも義務付けられることになります。

 

業種に関わらず、自動車の使用の本拠ごと、つまり事業所や営業所ごとに以下の条件を満たしていれば、安全運転管理者の選任およびアルコールチェック義務化の対象となります。

  • 乗車定員が11人以上の自動車を1台以上使用している
  • 5台以上の自動車を使用している
     (ただし、原動機付自転車を除く自動二輪は、1台を0.5台として計算)

自家用自動車と言うと、プライベートで使用するマイカーを思い浮かべる方も多いかと思いますが、法律上では白ナンバーの社用車や営業車も含まれるため、注意してください。

 

例えば、幼稚園バスやスクールバス、ホテルの送迎車などの大人数が乗れるような車を1台でも使用している場合や、メーカーの営業部門や建設業など車を運転する機会があり社用車を複数台使用している場合などが該当します。

アルコールチェックを怠った場合の罰則

アルコールチェックをうっかり忘れて運転してしまったり、法令どおりの手順で実施しなかったりと、アルコールチェックを怠ってしまった場合に罰則があるのかどうか気になる方も多いかと思います。

 

安全運転管理者の業務違反に該当する

アルコールチェックの実施と記録・保存は、安全運転管理者の業務内容として道路交通法施行規則で定められています。そのため、アルコールチェックを怠った場合は、安全運転管理者の業務違反となります。

しかしながら、今のところアルコールチェックを怠ったことに対する直接的な罰則は設けられていません。

ただし、安全運転管理者の業務違反が著しく、安全運転の確保に問題があると判断された場合は、公安委員会から是正措置命令や安全運転管理者の解任命令がくだることがあります。これに従わない場合は、命令違反に対する罰則が科される可能性があります。

 

安全運転管理者に関する罰則については、以下の記事で詳しく解説しています。合わせてご確認ください。

参考記事:安全運転管理者の罰則を解説!罰金引き上げの背景とは

飲酒運転に該当する場合の罰則

直接的な罰則がないとはいえ、アルコールチェックを怠ると、従業員の飲酒運転を見逃してしまう可能性があります。従業員が飲酒運転をしてしまった場合には厳しい罰則が設けられています。

飲酒運転には「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」の二種類があります。どちらに該当するかで罰則の内容がことなるので、まずはそれぞれの違いをお伝えします。

 

酒酔い運転

「酒酔い運転」とは、名前のとおりお酒を飲んで酔っぱらっている状態で運転することを意味しています。酒酔い運転の場合は、呼気中のアルコール濃度に関係なく運転者の状態で判断されます。

つまり、アルコールチェッカーの測定値に関わらず、

・まっすぐ歩くことができない
・明らかに呂律が回っていない
・質問に対する受け答えがまともにできない

などの状態にある場合は「酒酔い運転」と判断されます。

 

酒気帯び運転

一方、「酒気帯び運転」とは、アルコールチェッカーを用いて呼気中のアルコール濃度を測定した際の測定結果から判断されます。

「酒気帯び運転」の罰則対象となる基準値は、

呼気の場合: 0.15 mg/L
血液の場合: 0.3 mg/mL

と定められています。

 

「酒酔い運転」や「酒気帯び運転」が発覚した場合、運転者には以下の処分が下されます。

       
 違反種別 アルコール基準値 違反点数 処分 罰則

酒気帯び運転

0.15 mg/L以上0.25 mg/L未満

13点

90日の免許停止(※1)

3年以下の懲役または50万円以下の罰金

酒気帯び運転

0.25 mg/L以上

25点

免許取消し

欠格期間2年(※1, 2)

3年以下の懲役または50万円以下の罰金

酒酔い運転

数値基準なし

35点

免許取消し

欠格期間3年(※1, 2)

5年以下の懲役または100万円以下の罰金

(※1)前歴およびその他の累積点数がない場合

(※2)「欠格期間」とは、運転免許の取消し処分を受けたものが再取得することができない期間のこと

また、罰則の対象になるのは運転者本人だけではありません。酒類を提供した人や一緒に車に乗っていた人も、罰則の対象になります。

具体的には、以下のような罰則が科されます。

酒類の提供者・車両の同乗者

  • 酒酔い運転の場合:3年以下の懲役 または 50万円以下の罰金
  • 酒気帯び運転の場合:2年以下の懲役 または 30万円以下の罰金

会社の代表者や責任者も罰則の対象になる

アルコールチェックを怠った結果、従業員が酒酔い運転や酒気帯び運転を行った場合や、それらによって事故を起こした場合、従業員本人が罰せられるのはもちろん、車両提供者である企業の代表者や責任者も従業員と同等の罰則を科されます。

企業の代表者や責任者(車両の提供者)

  • 酒酔い運転の場合:5年以下の懲役 または 100万円以下の罰金
  • 酒気帯び運転の場合:3年以下の懲役 または 50万円以下の罰金

このため、企業には従業員を雇用する立場としてアルコールチェックの徹底や安全教育の実施等、飲酒運転防止に努める責任があります。

 

また、従業員が飲酒運転や酒気帯び運転によって事故を起こした場合は、罰則を科されるだけでなく、企業としての社会的信用を失うことにもつながるので、企業としてしっかり対策を行うことが重要です。

 

アルコールチェック義務化は、飲酒運転を防止するための一環として位置付けられています。運転者や安全運転管理者がアルコールチェック義務を遵守し、酒酔い運転や酒気帯び運転のリスクを回避することで、交通安全の確保に努めましょう。

合わせて知りたい、安全運転管理者とは

アルコールチェック義務化を正しく理解するためには、安全運転管理者についても知っておく必要があります。

 

安全運転管理者は、社用車や運送車両の運転の管理・監督を行い、運転者の教育・訓練や、安全対策の策定・実施などを担当します。企業や事業所が一定台数以上の自動車を使う際には、安全な運転環境を確保するため、安全運転管理者を選任しなければなりません。
 

2022年の法改正により、安全運転管理者の業務内容にアルコールチェックの実施と記録・保存が追加されたことをきっかけに、改めてその重要性に注目が集まっています。

法改正の経緯や安全運転管理者の選任義務、具体的な業務内容などについては、安全運転管理者まるわかりガイドでわかりやすく解説しています。ぜひ参考にしてください。

選任義務の対象

安全運転管理者の選任義務の対象となる基準は、アルコールチェック義務化の対象企業と同様で、社用車を5台以上保有する企業や、定員11人以上の自動車を1台以上使用する企業や事業所です。

 

選任義務の対象となる企業や事業所は、必ず安全運転管理者を選任しなければなりません。また、20台以上の自動車を使用している場合には、安全運転管理者に加えて、副安全管理者の選任も必要です。

 

選任や選任の届出を怠った場合は罰則の対象となるため、確実に対応してください。

資格要件

安全運転管理者は以下の資格要件を満たす必要があります。

  • 年齢:20歳以上
    ※副安全運転管理者が配置されている場合は30歳以上
  • 運転管理実務経験:運転管理の実務経験が2年以上

また、副安全運転管理者については、以下の資格要件を満たす必要があります。

  • 年齢:20歳以上
  • 運転管理経験または運転経験:1年以上の運転管理の実務経験または3年以上の運転経験

他にも、公安委員会に上記と同等の能力があると認められた場合には、安全運転管理者や副安全運転管理者になることができます。

ただし、過去2年以内に公安委員会から解任命令を受けた者、酒酔い運転や無免許運転などの違反をした者は安全運転管理者等になれないため注意が必要です。

業務内容

安全運転管理者の具体的な業務内容は以下の9つです。

  1. 運転者の状況把握
    運転者の適性や技能、知識及び法令や処分の遵守状況を把握するための措置を講じます。
     
  2. 運行計画の作成
    最高速度違反や過積載運転、放置駐車違反行為や過労運転の防止など、安全運転の確保に留意して、自動車の運行計画を作成します。
     
  3. 交替要員の配置
    運転者が長距離運転や夜間運転を行う場合、疲労などで安全な運転ができなくなる可能性があるときは、事前に交代ドライバーを準備します。
     
  4. 異常気象時等の安全確保の措置
    異常な天候や自然災害などで、安全な運転が困難になる可能性があるときは、適切な指示を出し、安全な運転を確保するための措置を取ります。
     
  5. 安全運転の指示
    運転者に対して点呼を行い、自動車の点検の実施状況や、病気や過労などで運転ができない可能性があるかどうかを確認し、安全な運転を確保するために必要な指示を与えます。例えば、適切な休息や運転方法のアドバイスなどを行い、安全性を高めます。
     
  6. 運転前後の酒気帯び確認
    運転をする前や終了後の運転者に対して、酒気帯びがあるかどうかを、目視やアルコール検知器などの手段で確認します。運転者の状態を確認することで、酒気帯び運転を防止し、安全な運転環境を確保します。
     
  7. 酒気帯び確認の記録・保存
    酒気帯びの確認結果を記録し、その記録を1年間保存することで、適切な管理と監査が可能となります。
     
  8. 運転日誌の記録
    運転者には運転日誌を備え付けてもらいます。運転者名や運転の開始と終了の日時、運転距離などの必要な情報を記録することによって、運転状況の把握や適切な記録管理が行えます。
     
  9. 運転者に対する指導
    自動車の運転に関する技術や知識など、安全な運転を確保するために必要な事項について、運転者への教育を行います。適切な運転方法、交通規則の遵守、事故防止などについて教育し、安全な運転を推進します。
安全運転管理者については、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

参考記事: 【最新版】5分でわかる「安全運転管理者」とは|選任義務から罰則まで徹底解説

安全運転管理者に関する4つの罰則

2022年10月より施行された改正道路交通法では、安全運転管理者に対する罰則規定が追加され、既存の罰則についても罰金の引き上げが行われるなど、違反行為に対する罰則がさらに厳しくなりました。

選任義務違反

安全運転管理者の選任義務の対象であるにもかかわらず、企業や事業所が選任しない場合、罰則が適用される可能性があります。罰則は、法改正前は5万円以下の罰金でしたが、現在は50万円以下まで引き上げられています。

解任命令違反

安全運転管理者の解任命令が出されても適切な手続きを取らず、安全運転管理者の職務を続ける場合には、法的な制裁が科される可能性があります。罰則は、法改正前は5万円以下の罰金でしたが、現在は50万円以下まで引き上げられています。

解任命令が出される理由には、安全運転管理者が義務を果たしてない場合や、交通違反や自動車使用制限命令違反などの違反行為があった場合が挙げられます。

是正措置命令違反

義務を怠った安全運転管理者や自動車の使用者には、公安委員会が是正措置命令を出します。安全運転管理者に対して是正措置命令が出されても適切な対応を取らなかった場合、法的な制裁が科される可能性があります。新たに設けられた規定により、50万円以下の罰金が科されます。

選任解任届出義務違反

安全運転管理者の選任や解任を適切に届け出ない場合には、法的な制裁が科される可能性があります。罰則は、法改正前は2万円以下の罰金でしたが、現在は5万円以下に引き上げられています。

 

安全運転管理者は、アルコールチェックの徹底という重要な役割を担っています。選任や解任、命令の遵守、届出の提出など、適切な行動を取ることで企業のコンプライアンス確保と安全性向上に貢献することが期待されています。

なお、安全運転管理者の罰則については、以下の記事でも解説していますので、合わせてご確認ください。

参考記事:安全運転管理者の罰則を解説!罰金引き上げの背景とは

アルコールチェックを正しく実施する3つのポイント

ここまで、飲酒運転や安全運転管理者の違反行為に対する罰則について解説してきました。罰則の対象とならないためには、法令を遵守し正しい方法でアルコールチェックを行うことが重要です。

ここからは、アルコールチェックを正しく実施するためのポイントについて解説します。

①実施のタイミング

アルコールチェックは運転前・運転後の計2回実施しなくてはなりません。運転前のチェックでは、運転者がアルコールを摂取していないことを確認し、安全な状態での運転を保証します。一方、運転後のチェックでは、運転中にアルコール摂取がなかったことを確認し、万が一アルコールが検出された場合は警察に通報するなど、適切な措置を取ることが求められます。

 

②原則として対面で実施する

アルコールチェックは原則として対面で行わなければなりません。

確認者は、目視等で運転者の顔色呼気のにおい声の調子などに問題がないかどうか確認します。アルコールチェッカーを用いた場合でも、目視等の確認は省略できないため注意しましょう。

 

直行直帰など対面で実施できない場合

直行直帰などにより対面確認が難しい場合は、運転者に携帯用のアルコールチェッカーを携行させた上で、

・カメラやモニター等で運転者の顔色や声の調子、アルコールチェッカーの測定結果を確認する
・携帯電話や業務無線等で運転者と直接対話して運転者の声の調子を確認し、アルコールチェッカーの測定結果を報告させる

など、対面確認と同等とみなすことのできる方法で行いましょう。メールやチャットなど、運転者と直接対話ができない方法は、代替手段として認められないため注意してください。

 

なお、直行直帰のアルコールチェックについては、以下の記事でもご紹介していますので、合わせてご覧ください。

参考記事:直行直帰時のアルコールチェックはどうする?|実施方法を徹底解説

 

安全運転管理者が対応できない場合

アルコールチェックは原則として安全運転管理者が実施します。しかし、安全運転管理者の不在時や確認が困難な場合においては、「副安全運転管理者」やあらかじめ指定した「安全運転管理者の業務を補助する人」が代わりに実施しても問題ありません。

 

ただし、アルコールチェック時に酒気帯びが確認された場合等には、必ず安全運転管理者に速やかに報告し、必要な対応等について指示を受けるか、安全運転管理者自らが運転者に対して運行中止の指示等を行う必要があります。

また、代理でアルコールチェックを実施した場合であっても、その責任は安全運転管理者が負うことになります。

(参照:兵庫県警察公式サイト 「安全運転管理者の業務 アルコール検知義務化 Q&A」

 

③アルコールチェッカーを常時有効に保つ

アルコールチェックを正しく行うためには、アルコールチェッカーがいつでも正確に測定できる状態にしておくことが重要であり、これは道路交通法でも義務付けられています。

そのためには、こまめな点検と定期的なメンテナンスが重要です。

 

日常点検では、確実に電源が入るか、本体に損傷はないか、アルコール測定結果が正確であるかを確認しましょう。

また、アルコールチェッカーは使用回数や耐用年数の上限が定められているため、センサーや本体を交換するなどのメンテナンスも必ず行うようにしましょう。

 

アルコールチェッカーの点検やメンテナンス方法については以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

参考記事:【最新版】アルコールチェッカーの正しい使い方|点検・メンテナンス方法も紹介

記録には1年間の保存義務がある

アルコールチェックを実施する際には、その結果を詳細に記録し、保存することが法律で義務付けられています。運転者が適切にアルコールチェックを受けていることを確認し、問題が発生した際の根拠とするためです。以下より、具体的な記録方法について解説します。

記録すべき事項

アルコールチェックの記録には、以下のような事項が含まれます。

  1. 確認者名
  2. 運転者名
  3. 運転者の業務に係る自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
  4. 確認の日時
  5. 確認の方法
    ・アルコール検知器の使用を記載(2023年12月より使用が義務化)
    ・対面でない場合はビデオ通話などの具体的な確認方法を記載
  6. 酒気帯びの有無
  7. 指示事項
  8. その他必要な事項
アルコールチェックの記録簿については、以下の記事で詳しく解説しています。記録簿のフォーマットも紹介しているので、合わせてご覧ください。

参考記事:アルコールチェック記録簿のテンプレート|運用方法も徹底解説!

1年間の保存義務

アルコールチェックの記録は、1年間保存することが義務付けられています。今のところ、様式は法律で定められていないため、紙でもデータでも構いません。

現時点で役所や警察署への提出義務はありませんが、万が一交通事故を起こしてしまった場合には記録の提出を求められる可能性があるため、確実に保存しておきましょう。

 

参照:アルコールチェックの義務化と記録Q&A(千葉県安全運転管理協会).pdf (ankan-chiba.or.jp)

運用徹底に「車両管理システム」が注目されている

飲酒運転のリスクや安全運転管理者制度における罰則を回避するためにも、企業はアルコールチェックの運用を徹底しなければなりません。

 

しかし、徹底しようとすると業務負担が増え、なかなか思うような運用が実現できていない・・・という声も少なくありません。

 

アルコールチェックを徹底し、かつ効率よく運用するためには、車両管理システムの導入が効果的です。車両管理システムとはどのようなものなのか、具体的なメリットや運用例を紹介します。

そもそも、車両管理システムとは

車両管理システムは、車両や運転者の情報を総合的に管理する仕組みであり、アルコールチェックの実施や管理を効率化するのに役立ちます。車両管理システムの主な機能としては以下のようなものがあります。

 
  • アルコールチェックと記録
    専用のアルコールチェッカーとの連携可能な車両管理システムの場合、結果をアプリに自動入力したり、クラウドに自動保存したりすることが可能です。​
     
  • 運行記録
    車両の走行距離や運行記録をクラウドで一元管理することで、必要な情報を抽出してデータの分析が簡単にできます。
     
  • 車両の予約
    車両の空車状況がひと目で把握できることで、予約ミスや重複を防ぎ、スムーズに利用調整することが可能です。

 

なお、車両管理システムについては以下の記事で詳しく解説しています。各社のサービスの違いもまとめているので、合わせてご覧ください。

参考記事:【2024】車両管理システム比較18選|選び方や機能を徹底解説

車両管理システムを導入するメリット

車両管理システムの導入には、さまざまなメリットがあります。
 

アルコールチェック義務化対応が完結

車両管理システムを導入することで、アルコールチェック義務化に関する対応が一元化され、効率的に管理できます。システムを通じて運転者の情報やアルコールチェックの実施状況を一括管理できるため、適切なチェックの実行や記録保持を簡単に行えるようになります。

 

アルコールチェックを厳格に実施できる

車両管理システムの利用により、アルコールチェックの厳格な遵守が可能になります。アルコールチェックとエンジン始動を連携させると、アルコールチェックでアルコールが検出された場合には、エンジンを始動できないようにすることも可能です。アルコールチェックのし忘れや、酒気帯び運転の抑制につなげられます。

 

車両管理業務全般の効率化

車両管理システムの導入は、アルコールチェックに限らず車両管理業務全般の効率化にも大いに役立ちます。運転者情報や車両情報の一元管理、スケジュールの設定や記録の保管など、さまざまな業務をシステム上で行うことで、作業の効率化や情報の迅速を共有することが可能です。

システムを用いたアルコールチェックの運用例

車両管理システムを用いてアルコールチェックを実施する場合の流れを、弊社の提供する車両管理システム「Bqey(ビーキー)」を具体例として用いて説明します。

①安全運転管理者立ち合いのもと、運転前のアルコールチェックを行います。一部の情報は自動入力されるため、必要な情報をドライバーがBqeyのアプリに入力します。
②運転後も同様にアルコールチェックを行い、結果をBqeyのアプリに入力し、そのままアプリから提出します。

③未提出の場合や、提出された記録に記入漏れや不備がある場合は、アプリが自動で識別してドライバーに通知が送付されます。(ドライバーだけでなく、管理者にも通知を送付することも可能)
④安全運転管理者は提出された記録を一覧で確認することができ、データは自動で3年間システムに保存されます。

このように、車両管理システムを活用するとアルコールチェックに関して、安全運転管理者・ドライバーの双方にとっての業務負担を軽減することができます。また、アルコールチェックだけでなく、システム上で車両の予約管理をしたり、運転日報や日常点検等の書類をデータで一元管理したりすることができるなど、車両管理システムには様々な機能があります。

様々な機能があるからこそ価格も様々で、機能が充実していればしているほど費用が高くなってしまいます。まずは自社の抱えている課題を見える化し、課題を解決することができる機能を絞り込み、適切なシステムを選ぶことで、車両管理システムはより大きなメリットをもたらします。

まずは各社が提供する車両管理システムについて幅広く情報収集することをお勧めします。その上で、費用対効果が得られるかをしっかりと吟味し、車両管理システムを選択するようにしましょう。

 

また、車両管理システムの選び方には、自社に合ったシステムを選ぶ際に重要な観点や自社の課題を確認するためのチェックリストを掲載しています。ぜひ活用してください。

まとめ

今回は、アルコールチェック義務化に関する罰則について解説しました。

現時点で、アルコールチェックを怠ったことに対する直接的な罰則は設けられていませんが、安全運転管理者の業務違反に該当します。場合によっては是正措置命令や解任命令が下ることもあり、これに従わない場合は命令違反に対する罰則が科されるため、注意しましょう。

また、安全運転管理者の選任・届出を怠った場合にも罰則があるので、確実に対応しましょう。

 

アルコールチェックを怠った結果、飲酒運転を見逃してしまうと、重大な交通事故につながる可能性があります。

飲酒運転に対する罰則は非常に重く、その責任範囲は運転者だけでなく企業や事業所の代表者にも及びます。何より、大切な命を奪ってしまうことにもなりかねないため、運転前後には必ずアルコールチェックを行うようにしてください。

 

アルコールチェックを徹底したいけれど、業務負担が大きくて困っているという方は、車両管理システムを活用するのもおすすめです。自社に合ったアルコールチェックの運用方法を見つけ、飲酒運転による交通事故の根絶を目指しましょう。

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